私を作る、おいしいレシピ
「……ぶぶっ、おまえっ、女としてそれはねーわ」
噴き出したのは、マコちゃん。
「腹減ってんのかよ瑞菜」
「だってっ、ふたりともいないから、……ご飯食べれなかったんだもん」
おなかを押さえながらそう言ったら、イチくんもマコちゃんも泣きそうな顔して笑った。
「全く。お前って俺たちいないと駄目なのな」
そうだよ。
だってふたりは、ようやく見つけた私のあったかい食卓だもん。
それは今の私にとって、恋よりも大切なものだ。
とりあえず、とカップラーメンを作ってくれたので、私はありがたくそれをごちそうになる。
「でも明日っからどうする? コンロは没収されちまったぞ」
イチくんが腕を組んで考え出したところで、私は食べる手を止めて手を挙げた。
「それに関しては私に考えがあります」
「んだよ」
「生徒会で、レンジ設置の嘆願を出そうと思うの。冷たいお弁当って味気ないし。まずはアンケートを取ってみるけど、需要はあるんじゃないかって思ってる」
「ああ、確かにコンビニでも弁当あっためるやつって多いぞー」
マコちゃんが同意する。
私は頷いて、先を続けた。
「学校で、許可なくコンロを使うのはやっぱり駄目だと思う。だから私は、もうそれはしない。しばらくは冷たいご飯で我慢するつもり。でも、ほかのやり方で、イチくんの好きなあったかいご飯を実現してみせる。だから協力して。ちゃんと授業に出て、できれば制服も普通にして。交通ルールと同じで、ルール違反は誰かにけがをさせるし、違反している人間のいうことは、聞いてもらえないの。イチくんやマコちゃんがちゃんとルールを守って、その上で権利を主張するなら、先生たちを動かすことだってきっとできる」