私を作る、おいしいレシピ
*
イチくんがいなくても、もう私は一人でご飯を作れる。
時には友達を呼んで、話しながら鍋を囲む。そうすると、前よりちょっとずつ仲良くなれる気がする。
温かい料理の効能って、すごいよね。
イチくんが教えてくれたそれをきっと、私は一生、忘れることはないだろう。
そして時には、マコちゃんのもとを訪れる。
「こんにちはー」
「おー。瑞菜久しぶり! 裏で待ってろよ。じきにおふくろと交代するから」
マコちゃんは今やコンビニの制服を着て、お客の対応もしている。
背も百六十五センチを超え、今や普通にイケメンさん。愛想もいいので、看板娘ならぬ看板息子として人気があるらしい。
裏に回って、言われた通りおとなしく待っていると、やっぱり賞味期限切れのシュークリームをもってマコちゃんがやってきた。
「ほい」
「ありがと」
「仕事どう?」
「うん。だいぶ慣れた。学校もあるから忙しいけど、まあこうしてたまには休みもあるしね」
「たまの休みに会うのが俺でいいのかよ」
くははーと笑って、マコちゃんは私をちらりと見る。
「……だって、イチくんとは会えないもん」
「ハジメに聞いた。バカな約束するよなー、せっかく俺が身を引いてやったというのに」
「イチくんはバカだもん。仕方ない」
「瑞菜、容赦ない」
ふたりで笑いながら、こんな風に話せるようになったことにほっとする。
イチくんがいなくても、もう私は一人でご飯を作れる。
時には友達を呼んで、話しながら鍋を囲む。そうすると、前よりちょっとずつ仲良くなれる気がする。
温かい料理の効能って、すごいよね。
イチくんが教えてくれたそれをきっと、私は一生、忘れることはないだろう。
そして時には、マコちゃんのもとを訪れる。
「こんにちはー」
「おー。瑞菜久しぶり! 裏で待ってろよ。じきにおふくろと交代するから」
マコちゃんは今やコンビニの制服を着て、お客の対応もしている。
背も百六十五センチを超え、今や普通にイケメンさん。愛想もいいので、看板娘ならぬ看板息子として人気があるらしい。
裏に回って、言われた通りおとなしく待っていると、やっぱり賞味期限切れのシュークリームをもってマコちゃんがやってきた。
「ほい」
「ありがと」
「仕事どう?」
「うん。だいぶ慣れた。学校もあるから忙しいけど、まあこうしてたまには休みもあるしね」
「たまの休みに会うのが俺でいいのかよ」
くははーと笑って、マコちゃんは私をちらりと見る。
「……だって、イチくんとは会えないもん」
「ハジメに聞いた。バカな約束するよなー、せっかく俺が身を引いてやったというのに」
「イチくんはバカだもん。仕方ない」
「瑞菜、容赦ない」
ふたりで笑いながら、こんな風に話せるようになったことにほっとする。