怪盗ダイアモンド2
染子さんはふわふわの前髪をかきあげた。
「あ……!」
左目に、黄色い宝石が義眼代わりに嵌め込まれていた。
キャッツアイの特徴である縦長のハイライトが妖しく光る。
眼球の代わりに宝石……普通に考えればシュールで怖い光景なのに、不思議と美しさを感じて魅入ってしまう。
「さぁ、僕は宝石を見つけましたよ。脱落者も僕らも、解放して頂けますよね?」
音遠くんが睨みつけるけど、染子さんはそれをものともしないで不敵に笑う。
高らかな声が会場に響き渡った。
「アッハハハハハハハ!!ダメに決まってるじゃない!もうこの会場は私の所有地、その中にいる貴方達は籠の中の鳥……逃がさないわ」
「……っ!?」
瞬間移動かと疑う速さで染子さんが私の真ん前に立つ。
「宝石や絵画や彫刻……美しいものって、ずっと手元に置いておきたいじゃない。その美しさを一生眺めていられたら、幸せだと思わない?」
……気持ちは分からなくもない。
美しいものをたくさん見たいと思う人がいるから美術館や展覧会というものが存在する。
でもそれが今となんの関係が?