怪盗ダイアモンド2
「だから、私は美少年を最高の方法で手元に置いておく事にした」

ステージの奥のカーテンが、シャっと左右に分かれる。

「!!」

現実とは思えない光景に、私は息を呑む。

「こ、これ……」

「全部剥製……?」

十代くらいの男の子の、剥製だった。

ただの剥製じゃない。全部眼球の代わりに宝石を埋め込まれてる。それらが三十人、いや四十人……もっといるかもしれない。

「美しいでしょう?綺麗なものに綺麗なものを飾る……これが一番素敵」

恍惚とした表情で、私達を舐めるように見つめる染子さん。

その目は、剥製になった少年達を見る目と同じだった。

また、ドクンドクンと心臓が早鐘を打ち出した。

「くそっ」

音遠くんがこっそりとスマホを出して、外部との連絡を測った。

そっか、逃げられないなら助けを呼べばいい!……でも、「くそっ」て事はまさか……

「無駄よ」

僅かな希望は染子さんの冷たい言葉でシャットアウトされた。

音遠くんの色白な顔がさらに白くなる。

画面をチラ見すると、圏外だ。

私の顔からも血の気が引いた。

「ね、音遠くん……」

「大丈夫……大丈夫、だから……」

私の目を真っ直ぐ見て、私を安心させようとしてるけど……それでも、音遠くんも不安なのが分かってしまう。

無理に笑わなくていいのに……
< 114 / 122 >

この作品をシェア

pagetop