怪盗ダイアモンド2
握った手が徐々に汗ばんでく。
どうしよう……
「絶対、助けるから」
ぐっと音遠くんが歯を食いしばる音が聞こえた。
もう私だけを助ける方法しか考えてないみたい。
「ダメだよ!音遠くんも一緒に逃げなきゃ!」
でも、私もいい案が浮かばない。
何か奇跡でも起き──────……
ドッカーーーーーーーーン!!!
「え!?何!?」
爆発音が聞こえてきて、私も音遠くんも尻もちを着いた。
土煙が収まった先に見えた人影は……
「そ、颯馬さん……!?」
「あ、阿弓……?」
壁をぶち破って登場した榊兄妹だった。
田舎のヤンキーカップルみたいにゴツいバイクを二人乗りしてる。
ブオンブオンと威嚇のような蛇行の後、私達と染子さんの間に挟まるようにして止まった。
颯馬さんがヘルメットを外すと、汗で濡れた茶色の短髪が揺れる。
「颯馬さん!なんでここに……?」
「何って、展覧会の予定終了時刻めちゃくちゃ過ぎてるから、警察に「息子が帰ってこない」って通報が殺到してるからだよ!出入口鍵かかってるし、展覧会にしちゃおかしすぎるから来たんだ!」
颯馬さんが「ほら!」とスマホの待受を見せる。
時計はもうとっくに0時を回って次の日になってた。
「え!?もうそんなに経ってたの!?」
どうりで疲れるわけだ。緊張してたからだけじゃなかったのね……
「おらァ!!」
いつの間にかステージの上に忍び込んでた阿弓が、呆気に取られていた染子さんにハンマーロックを食らわせた。
こうして、突如乱入した榊兄妹によって、スピード解決したのだった……