怪盗ダイアモンド2
興味を持ったらしく、颯馬さんがうきうきと尋ねた。
「へー。それってどんな子?」
「写真があるわ。こんな子よ」
染子さんは胸の間からスっと写真を取りだした。
(どこにしまってんだ!?)
もうつっこむのも疲れたから、私は心の中でそう叫ぶ。
私、音遠くん、阿弓、颯馬さんが覗き込むと、写真の中には七五三みたいな格好の子がいた。
少し吊り気味の瞳、黒い蝶ネクタイ、太ももと膝頭がよく見える半ズボン。薄い唇からは綺麗に揃った歯が見えた。
どうやらリングボーイを務めたらしい。花嫁さんに指輪を届けた瞬間が切り取られていた。
「へぇ、本当に綺麗な顔立ちですね」
「ほんとだね。こんな整った顔の子、初めて見たかも」
「そうでしょうそうでしょう!?」
染子さんがずいと顔を寄せてくる。
うーん、綺麗なのは分かるけど、この子を剥製にしたい気持ちはやっぱり一ミリも分からない。
私は一歩下がった。
「あのー……オバサン、ちょっといいか?」
珍しく歯切れ悪く、阿弓が挙手をした。
「この結婚式って、名取(なとり)さんって人の結婚式?」
「え?ええ、そうよ。どうして知ってるの?」