怪盗ダイアモンド2
「あのさ、めっちゃ言いにくいんだけど……」
阿弓の口から独り言みたいに小さい言葉がこぼれた。
「これ、私」
「「「えーーーーーーーーーーー!?」」」
まさかの事実に私も音遠くんも染子さんもビックリだ。
「あ〜、これアレか。確か前日にドレス汚して換えがなくて、俺のお下がりで代用したんだよな」
「そうそう、リングガールがリングボーイになったー!ってちょっとザワついたよな」
お互いを指さして思い出話に花を咲かせる榊兄妹。
けど対照的に染子さんは魂が抜けたように口をぽかんと開けてた。
そりゃ、ずっと何年も追ってた美少年が、女の子だったんだから。
染子さんに気がついた阿弓がきまりが悪そうに頬をかいた。
「あー……つまり、私があのオバサンの性癖狂わした張本人って事……?」
「そういう事になるね。阿弓」
「えーと、なんかスンマセン……?」
とうとう染子さんがガックリとうなだれた。
すかさず颯馬さんが手錠を取り出す。
「えーと、11時38分、伊原 染子……えーと、なんかいろんな罪で逮捕〜」
ガチャン!
颯馬さんの手錠の音が静かなホールに響いた。
というか、そんな適当な逮捕でいいの?