怪盗ダイアモンド2
「って訳で、阿弓が付けた宝石と、鳳莉を私達皆で守る事になったんだ」
その日の夕方、白鳥家の夕飯の時間。
大皿に乗った青椒肉絲(チンジャオロース)を箸でつつきながら、私は家族に今日の事を話した。
一応阿弓の家とは昔から仲良かったから、榊家の事を知ってる家族にも伝えた方が良いと思ったんだ。
ちなみにマネージャーさんの了解は、鳳莉が電話越しに頼んでくれたらしい。
鳳莉が所属してる事務所は出来たばかりで小さくて、まだ万全な警備が出来る状態じゃないから、こっちに完全に任せてくれてるとの事。
「ま、あの榊家なら大丈夫だろ」
父さんが掻き卵汁を啜る。
「皆武道の経験あるし、警察とも繋がってるし。ここら辺じゃ敵無しなんじゃないかしら。多分本気出せば世界征服もイケると思うわよ、阿弓ちゃんち」
白飯が乗ったお茶碗片手に恐ろしい事を言う母さん。
本当に出来そうだから怖い。
「それもそうだけど……鳳莉の命もかかってるんだよ?もしあの瀬川兄弟みたいに銃なんか持ってたら、素手じゃ叶わないし……」
この前の美術館で阿弓は、元々の運動神経と身軽さを生かした大技を繰り広げて撃退してたけど、今回の取り引きの場所は小さなカフェ。
そんな所でドンパチ銃撃戦されても大変だし、美術館と違って狭いから、阿弓も派手に動けないだろう。
「確かに少し不安だな。もし犯人が複数人いたら、うまく捕まえられないかも。斬泪晶を取りに来る人が、犯人に雇われた素人って可能性もあるだろうし」
胡麻和えを頬張りながら、兄さんが意見を言ってくれた。
「だよねー、さすが兄さん!」