怪盗ダイアモンド2
阿弓side
蝶羽が誘拐された。
理由は分からない。
今言えるのはそれだけ。
「あ、蝶羽ちゃん……大丈夫かな……」
涙目で鳳莉が不安げな表情を見せる。
「大丈夫かなじゃなくて、大丈夫って蝶羽に言えるような状況にしてやるんだよ。鳳莉もなんか知恵絞ってくれ」
そう言いつつも、私は蝶羽が攫われた理由が1ミリも分からない。
元々蝶羽が狙いだった?
いや、蝶羽は今回オマケ要員みたいな感じだ。
来なくても良かったし、必ず来るとは限らなかった。
「阿弓、斬泪晶は無事なんだよね?」
「あぁ、この通り」
私の手首には、しっかりと斬泪晶が嵌められてる。
盗られてない。
という事は、目的は、斬泪晶じゃない?
「えぇ、えぇ、はい、そうです。女子高生が……はい、大至急お願いします」
颯馬兄さんが電話を切った。
おそらく相手は仲間の警察関係の人だ。
「颯馬兄さん……」
「一回警察の方に連絡したから大丈夫。阿弓ぃ、そんな凹んだ顔すんなよ〜」
颯馬兄さんは呑気に私の頭を撫でくりまわす。
……凹んだ顔くらいするさ。
親友が攫われたんだから。