怪盗ダイアモンド2
それと―――
なぜか音遠くんが頭の中に出てきた。
抱きしめようとするかのように、腕をこっちに伸ばしてる。
ん?
いやいやいや、音遠くんは友達だから!
私の一番は兄さんだから!
狭いスペースで頭をぶんぶん振って、箱に頭をぶつけて我に返る。
でも……確かに音遠くんにも会いたい。
なぜか今になって、あの冷たい手やお日様みたいな笑顔が恋しくなる。
―――日ノ宮 音遠(ひのみや ねおん)。
素性は詳しく分からないけど、私の遠縁の親戚で、怪盗としての私を味方してくれてて、優しくて、でも、不思議な人。
(音遠くん……)
会いたい。
会いたい……
早く帰りたい……帰れるのかな……
キキッ、ピ-ッピ-ッピ-ッ……
(あれ?)
これ、車を駐車場に停めてる音?
目的地に着いたのかな。
ガチャっと運転席のドアが開く音がして、咄嗟に身構える。
(来た!)