怪盗ダイアモンド2
被害者と犯人。
本来なら仲良く座るなんて有り得ない。
けど、よく見るとこの人、そんなに悪い人でもなさそう。
背は高いけど、顔立ちは優しそうだし。
若いけどスーツもきっちり着てて、眼鏡もかけてて真面目そう。
「お嬢ちゃん、名前は?」
「……白鳥 蝶羽(しらとり あげは)です。蝶の羽って書いて、『あげは』」
「そうかい、良い名前だね」
男性は微笑んだ。
そうかな?
結構読みにくいキラキラネームだと思うんだけど。
たまに『しらとり ちょう』とか『しらとり ちょうは』とか間違えられて、変わった名前って言われてたから、良い名前なんて言われたのは初めて。
「私は御剣。御剣 僚吾(みつるぎ りょうご)」
あ、名乗っちゃうんだ。
私が警察に連絡するかもしれないし、周りに助けを求めるかもしれないのに。
はっ……!もしかして、私を口封じの為に殺して、何も無かった事にするの?!
「あ、いや、君は怪我させたり、殺したりしないよ!ちょっと桝屋 鳳莉の代わりをしてもらうだけだ。攫った時に度胸を使い果たしてしまってね……もうこれ以上罪は重ねないさ」