怪盗ダイアモンド2


慌てふためく犯人の男性……御剣さんは、もう悪い人には見えなかった。

なんか、ただの普通のおじさんだ。

三十代前半くらいに見えるから、お兄さんかおじさんか迷うけど、私的にはおじさんの方がしっくりくる。

「鳳莉の代わりって、何するんですか?」

私が鳳莉の代わりに出来る事……

まさか、鳳莉の代役でステージで歌うとか?!

歌は亜希乃達とのカラオケで、よく90点代連発するくらいだけど、ダンスはあまり得意ではない。

「とりあえず、一緒に南龍彗(みなみりゅうすい)まで来てくれないか。用が終わったらすぐに君を返すし、警察にも出頭するから」

南龍彗っていうと、かなりの都会。

渋谷や原宿、表参道等に似た感じの、よく芸能人が目撃される事で有名な場所だ。

「わ、分かりました……」

なんだか御剣さんの必死そうな表情が可哀想で、逃げようという気が起きない。

悪い事はしなさそうだし……ついて行ってみようかな。

二人で車に向かい、ドアを開けた。

「あ、君が逃げないなら、もう箱には入れないから!助手席座って良いよ」

私は大人しく助手席に座り直した。

御剣さんの運転する車は、ゆっくりな安全運転で進んで行く。


< 41 / 122 >

この作品をシェア

pagetop