怪盗ダイアモンド2
阿弓side
「―――うん、そう。お願い出来る?……あぁ、良かった。ありがと。あと、あんまり大掛かりには……おう、頼んだ」
ピッ。
通話終了。
電話を切った。
冷たい風が私の髪と肌を撫でる。
六月上旬にしては珍しく、雲一つ無い夜。
冷たそうな月が私を見下ろす。
……って口に出したら、蝶羽はなんて言うだろうな。
『さすが文芸部〜!言い回しが格好良いね!』
かな。
いや、あるいは……
『ポエマーか!そういうのは小説の中だけにしてよ〜。痛いね〜』
って笑うか?
まぁどの道、今ここに蝶羽は居ないんだから、正解なんて分かるわけないんだけど。
「……は〜ぁあ」
うざったくなって、結んでたポニーテールを解いた。