怪盗ダイアモンド2
もう夜の十時を過ぎた。
店内には、私達しかお客さんがいない。
道路を走る車の音とお店のBGMが、やけにはっきりと聞こえた。
「……オレさ、昔からアイドルになる夢、女みたいって馬鹿にされてて……見返してやりたいって気持ちばっか空回りしてたんだ」
ユキくんがポツリと零す。
「キラキラしたステージに憧れて、オレもいつかあの場所に立ちたいって思ってて、がむしゃらに頑張って、今立ててるのにな」
「冷静に考えたらリオンたち、ファンの人の事とか他のアイドルの事、全然見てなかったね」
……ネットで色々言われても、やっぱり二人も考えてる事があるんだね。
何か目的を達成させようとして、達成出来たのに結局あとはぐだぐだしちゃうのは、私もなんか分かる。
可愛いアクセサリーを作ろうとして材料を集めても、そこで満足しちゃって、創作意欲が失せて、結局作らない。
芸能界の事はよく分かんないけど、感覚的には似てると思う。
「オレ達は、『どりぃむ†あすとろのぉつ』。Dream Astronaut(ドリーム アストロノーツ)……名前の通り、夢に溺れてふわふわしてるだけの、技術力の無い宇宙飛行士だったのかもな」
「その『ふわふわ』も良いんじゃないの?」
「え?」