怪盗ダイアモンド2
IV.猫の瞳は影を見る
★怪談話
ザアァ……
カーテンが引かれ、部屋は昼間だというのに真っ暗。
聞こえるのは雨の音と、オカッパ少女の声だけ。
「……そして、鏡を見ると───」
少女の声は、ゆっくりとにじり寄るような低い声で、背筋を寒くさせた。
私はゴクリと唾を飲み込んで、乾いた喉を軽く潤した。
「片目が腐り落ちた、落ち武者の霊が……!」
「きゃーーーーーーーーーっ!!!」
亜希乃がたまらず悲鳴をあげた。
私はキーンとなる耳を抑えながら、蛍光灯の紐を引っ張って電気をつけた。
周りが明るくなり、面白がる鳴夏とビビる亜希乃の姿が視界に入った。
「うっさいよ、亜希乃!!ここ人んちだからね?!」
「にょっほほほほ~♪怖がりすぎですぞ、亜希乃殿~」
オカッパの少女、クラスメイトの十前 鳴夏(ここのつ ななつ)がぶかぶかのパーカーの袖を振ってケラケラ笑う。
「でっ、だっ、だって、鳴夏の喋り方怖いんだもん!」
「でも暇だから怪談大会やろうって言ったのは亜希乃でしょ」