怪盗ダイアモンド2

忙しいな、こいつ。

「ヒヒヒッwww嘘だよwww怪談好きな義姉が来るから、持ってきただけ~」

「なんだよー!阿弓ひどーい!」

涙目でぷんぷん怒る亜希乃に対し、ツボって爆笑する阿弓。

しかし、亜希乃はさっきから言い出しっぺのくせにビビりすぎ。

警部の娘が非現実的なものに怖気づいてていいのかな?

「あら~、怪談ってそういうものよおぉ~?日常の中に非日常がいきなりやってくるから、怖いんでしょ?」

「ぴょえっ」

襖が開き、ロングヘアの上品な女性が足を踏み入れた。

亜希乃がビビって小さく飛び跳ねる。

「お、モト義姉(もとねえ)、やっと来たか」

「阿弓殿、そちらの方は?」

「あぁ、鳴夏は知らないんだっけ。この人はうちの長男の奥さん……つまり私の義姉、榊 玩子(さかき もとこ)。通称、モト義姉」

玩子さんは阿弓の一番上の兄、颯馬(そうま)さんのお嫁さん。

何度か玩子さんの話は阿弓から聞いてたけど、会うのは初めて。

二十八歳らしいけど、全然そうは見えない。若い。

カチューシャでまとめた長い髪はシャンプーかコンディショナーのCMみたいにサラサラだし、よく聞こえるハッキリした声は歌手みたい。
< 89 / 122 >

この作品をシェア

pagetop