怪盗ダイアモンド2


百均の隅のパワーストーンコーナーで売ってそうな、数珠みたいなブレスレットだ。

少し濃くて、光で少しキラキラ反射してるけど、綺麗な緑色。

「うん、だからこれだよ、斬泪晶。うちの家宝。これ特殊な砂金水晶なんだ。えーっと、いくらしたって言ってたっけな、五億?十億?いや、もっとしたっけ?忘れた」

「はあ?!」

なんだか拍子抜けしてしまった。

家宝をそんなアクセサリー感覚で持ち歩いていいの?

榊家はよく分からない。

「まぁよく見てよ、蝶羽ちゃん。阿弓は斬泪晶の上に、バングルみたいなのしてるでしょ?」

透馬さんが教えてくれた。

これも阿弓がいつもしてるやつ。

ドクロと十字架が描かれた、なんか中二病っぽいやつ。

きっと椎馬さんのお下がりだ。

「あれ、中に鋼鉄製の針金みたいなの入れててね、引っ張ったりしても本人以外簡単には外れないんだ。斬泪晶を通してる紐も、内側に同じものを入れてんの。だから見た目よりずっと丈夫なんだよ。
もしこれを盗むとしたら、阿弓が自分から外すか、阿弓の手首を切り落とすしかないって訳だ!」

天馬さんが爽やかな笑顔で 恐ろしい事を言う。

「なるほどね〜。だから榊家にお願いすれば全部解決だったのか〜」

呑気に納得する鳳莉。

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