怪盗ダイアモンド2
ある民家で飼われていた猫が、枯野原に捨てられておりました。
長い事人の手で飼われていた為、猫は人の愛情を知ってしまっていました。
猫は灰色の空を眺めがら思いました。
人に復讐をしたいと。
憎くて仕方がない。
殺したくて仕方がない。
人というものは、自分の都合を第一に考え、他者は二の次である。
遠くの方で鳴り止まない怒号と馬が駆ける音、そして鉄砲の音と悲鳴を聴きながら、猫は考えました。
いづれにしても、戦を繰り返していれば人はいつか滅される。
ならば、私が一人残らず殺してやろう。
猫は長い間そう思う内に、妖の姿へと変貌しました。
緑の瞳と双の尾を持つ妖怪、猫又へと。
『あら、翠の眼の猫がいる』
猫がいつものようにどうやって人間を痛めつけてやろうかと考えている時、一人の少女が猫を抱き抱えました。
『あなた、尻尾が二本なのね。珍しい』
ちょうどいい。最初にこの娘っ子を殺し、喰ってやろう。
タイミングを見計らいながら、猫はそのまま少女に連れていかれました。
引っ掻いたら鮮やかな深紅の血が流れそうな白い肌、自分と似た少し釣った目、その美しい顔に、どう傷をつけて殺してやろうか。
考えてるうちに、少女は神社の前で立ち止まりました。