怪盗ダイアモンド2
『……飼い猫よね?人が嫌いなのよね?』
猫はピクリと尻尾を揺らしました。
心を見透かされている?
『無理だとは思うけど、許してあげてくれないかしら。今、こんな時代でしょ?戦ばっかりで、今日を生きるのも大変なの。あなたみたいな生き物は、食糧になっちゃうわ』
少女は境内に腰掛け、猫を膝に乗せて独り言のように話します。
『きっと、飼い主さんはあなたが嫌いなんじゃなくて、あなたに生きて欲しくて外へ捨てたのよ。だから、大目に見てあげて?』
猫は目を見開きました。
自分を助ける為に、飼い主は……
なんという事だ。
猫は自分の中で積み上げていった計画が崩れるのを感じました。
『ここの神様なら、きっとあなたを助けてくれるわ。大丈夫。長生きしてね』
そう言うと、少女は去っていきました。
猫は少女の後ろ姿を目で追いながら、考えました。
自分も、あの少女のような優しい心を持てるだろうか。
彼女を、もっと知りたい……
その思いは蓄積し、いつしか猫は人の姿へ変わっていきました。
人から再び貰った愛情を胸に、猫はあの時の少女を探しているのです……」