怪盗ダイアモンド2







「おぉ。よくぞこの地……聖域(サンクチュアリ)へ辿り着いたな。緑眼の少年騎士よ。電子の導を施す間もなかったか。天の標の赴くままに発ったのなら、容易い事か」

回転椅子に座って書類とにらめっこしていた椎馬さんが、椅子ごとくるりと振り返る。

今日はいつもしてる眼帯(厨二病的なオシャレ用)の代わりに、眼鏡をかけてる。

ちなみにここは、阿弓の四番目のお兄さん、榊 椎馬(さかき しいま)さんの書斎。

若いけど凄腕の探偵らしい……けど、ちょっと厨二病の変わり者で、阿弓曰く『颯馬兄さんとは違う方向で少年の心を持ったまま大人になった人』らしい。

音遠くんを部屋に案内する阿弓について行って、私達も向かったんだ。

「訳せよ、椎馬兄者。音遠くんに通じてねーぞ」

阿弓が仁王立ちして叱った。

確かに音遠くんは困惑顔だ。

椎馬さんはコホンと咳払いしてから言い直す。

「……よく来れたね。音遠くん。僕の案内は不必要みたいだったね。まぁ地図見れば簡単か」

「最初から普通に喋れよ、普通に!で、二人は知り合いなの?」

阿弓が二人の顔を見る。

音遠くんはまだ阿弓の家に来た事ないし、阿弓のお兄さん達の事も知らないと思ってたんだけど。
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