怪盗ダイアモンド2

唯一純粋な鳴夏の、低い位置にある頭をくりくりと撫で、亜希乃が誤魔化した。

「うちの六男の透馬じゃギリギリ大学生で対象外だからさ、頼めるの音遠くんしかいないんだ。無茶を承知でお願いできるかな?」

本当に切羽詰まった表情の椎馬さん。

まぁ、誰かが動かない限りまた被害者が出るかもしれないからね。

出来る人が出来る限りやった方が、早く解決できるだろうけど……

音遠くんを見ると、彼はゆっくりと首を縦に振った。

「はい、分かりました。お受け致します」

ほ、本当に大丈夫かなー?

失敗したら結構トラウマになりそうだけど……

「ただ……『もしも』の時は、責任とってくださいよ?」

音遠くんのチラシを持つ手が力んで震え、瞳が緑に光った。

「ひぃっ!」

鳴夏がビビって亜希乃にくっついた。

これ、怒ってるのと緊張してるのが混ざってる顔だ!

「しょ、承知、承知!前払いで依頼料の半分払うから!面倒な面接の手続きもこっちでやっておく!」

椎馬さんは慌てて厚い茶封筒を音遠くんに手渡した。

「ありがとうございます。最善は尽くしますね」
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