怪盗ダイアモンド2

「けど、この宝石……怪しい気がして」

怪しい……?

「もしかしてエインセル?」

「うん。かもしれない。帰ったら空絵さんに言おう」

「そうだね……ん?」

『帰ったら』?

なんだか音遠くんもうちに行くみたいに聞こえるけど。

「そういえば、音遠くんの家ってどこ?」

音遠くんが転校してからなんやかんやあって一週間経ったけど、私はまだ音遠くんの家を知らない。

「そこをまっすぐ行って、右に曲がって、信号渡って手前から三軒目にある『アリスインワンダーランド』って雑貨屋の裏」

「それ私の家じゃん!!」

ガンッと頭にタライが落ちてきたような気分だ。

音遠くんの帰る場所が私の家?!どういう事?!

「うん。僕が前まで住んでた所、ちょっと遠くてさ。空絵さんが『何度も家に来ることになるだろうから、どうせならうちに居候しない?』って。転校を勧めたのも空絵さんだよ」

「聞いてないんだけど!!」

「うん、言ってないからね」

面白そうに音遠くんはクスクス笑う。
< 99 / 122 >

この作品をシェア

pagetop