怪盗ダイアモンド2
「けど、この宝石……怪しい気がして」
怪しい……?
「もしかしてエインセル?」
「うん。かもしれない。帰ったら空絵さんに言おう」
「そうだね……ん?」
『帰ったら』?
なんだか音遠くんもうちに行くみたいに聞こえるけど。
「そういえば、音遠くんの家ってどこ?」
音遠くんが転校してからなんやかんやあって一週間経ったけど、私はまだ音遠くんの家を知らない。
「そこをまっすぐ行って、右に曲がって、信号渡って手前から三軒目にある『アリスインワンダーランド』って雑貨屋の裏」
「それ私の家じゃん!!」
ガンッと頭にタライが落ちてきたような気分だ。
音遠くんの帰る場所が私の家?!どういう事?!
「うん。僕が前まで住んでた所、ちょっと遠くてさ。空絵さんが『何度も家に来ることになるだろうから、どうせならうちに居候しない?』って。転校を勧めたのも空絵さんだよ」
「聞いてないんだけど!!」
「うん、言ってないからね」
面白そうに音遠くんはクスクス笑う。