なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
もう、やめてよ。


これ以上あんたに、私の弱い部分見透かされたくないんだよ。


「別に私は、ただひっそりと片想いしてただけで?先生とどうこうなりたかったわけじゃないしさ!こうなるのは覚悟してたの!ただ、せめて卒業後がよかったなぁ〜とか、ちょっと思っただけで……」


これ以上、今まで築き上げてきた“私らしさ”ってやつを壊されたくないんだよ。


しっかりしなきゃだめなんだよ。私は。


今までそうやって生きてきたんだから。


それなのに……。



「……センパイ?」


「……思った……だけで……」



それなのに何で私は、


私に優しく向けられるあんたの瞳に甘えたくなるのか……。


ずっとずっと押さえつけていた感情が、涙となって溢れ出す。




私を呼ぶ先生の声。


優しく笑う先生の顔。


私の髪をくしゃりと撫でる、先生の手。



––––––先生と出逢ったあの日の記憶。



全部が走馬灯のように流れてきて、苦しい。


「……っ……ふっ」


「センパイ。おいで」


そんな私の両頬を包み込み、長瀬が私の顔を引き寄せるもんだから。
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