なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
でも、生まれて初めての失恋は、正直こんなもんかって思った。


思ったよりも悲しくなかった……気がする。


まだ、気持ちの整理は出来ていないけど、思ったよりも早く立ち直れそうだ。


これってもしかして……長瀬のおかげだったりするのかな。





みんなで参拝した後、長瀬に何をお願いしたのか聞いてみた。


長瀬のくせに、真剣な顔で手を合わせて、長々と何かをお願いしていたからだ。


そうしたら長瀬は私をチラリと見てから、意地悪く口角を上げて言ったんだ。



「センパイが、もうべそかきませんように」



ふんっ。


大きなお世話だっての。


ほんと生意気なヤツ。



だけど……。



来年こそはいい年になる。



そんな気がした。


うん。


何でか……そんな気がする。



境内にこだまする除夜の鐘の音を聞きながら、不思議とそんなことを思った。
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