なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
8☆モテ期到来
––––むかしむかしあるところに、平和をこよなく愛す姫がおりました。
姫は、それはそれは爽やかな隣の国のチューリップ王子に恋をしていました。
しかし、ある時。
王子様が他の国のお姫様と結婚することを知ってしまったのです。
姫は酷く落ち込みました。
そんな時、金色の毛をしたオオカミが現れてこう言いました。
––––『俺のこと、好きになればいいじゃん』
…………は?
首を振るお姫様に、金色の毛をした狼はなおも迫ります。
––––『言うこときかなきゃ食べちゃうけど、いいんだ?』
……待て。
待て長瀬。
こら!オオカミなら待てぐらいできるでしょ!!
え?犬じゃない?
そんなの知るか!
オオカミの––––長瀬の顔がゆっくりと迫ってくる。
ダメッ…!
長瀬!
お願い待って。
キスはもう…………
「だめーーーーっっっ!!!」
–––––––ゴンッ!!
つむっていた目を大きく見開けば、見慣れた自室の風景が飛び込んできた。
だけど、全ては逆さま。
そして、床に打ち付けたとみられる後頭部がジンジンしている。