なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。



「……なんちゅー夢…見てんだ私……」



朧気な夢の記憶が、ベッドから逆さ釣り状態の私を赤面させた。








***


冬の寒さがより一層深くなった。


冷たく澄んだ空気に、白い息。月が沈むのを名残惜しそうにしている冬の早朝はわりと好きだ。




今日から新学期です。


生徒達が登校してくる前に、冬休みの間に溜まった枯葉を掃除するために、今日は早くに家を出た。


校門を抜ける頃には大分日が出てきたのに、それでも空気が冷たくて思わず身震いしてしまう。


マフラーに顔を埋め、荷物を置くために校舎に向かおうとした時だ。


「あ。花枝さん!おはようございます!」


校門脇の花壇から、聞きなれた爽やかな声が聞こえてきて、心臓がドクッと脈を打った。


「村田…先生…」


先生に会うのは、失恋をした大晦日の日以来だ。


始業式までにはと何とか気持ちの整理をつけ、今日という日を迎えたわけなのだが…まさか、いきなり顔を合わせてしまうなんて。


「…おはようございます。こんな朝早くから、何してるんですか?」


先生がにっと口角を上げて手招きするので、歩み寄って行くと。


「あ!」
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