なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
「先生。好きです」



「……え?」



まるで、時間が止まってしまったかのように、目を見開き固まる先生。


先生。驚かせてごめんね。



「私、先生が教えてくれる花言葉、すごく好きです」


「あ…あぁ…花言葉…ですか」


動揺しているのか、頭の後ろをガシガシとかく先生に、クスリと笑みが込み上げてくる。


あぁ、私笑えるじゃん。


ちゃんと先生の前で笑えてる。


この前はあんなにも落ち込んで、先生に会うのも辛いと思っていたのに、今の私は先生の目を真っ直ぐに見ることができる。


もう、大丈夫だ。


今ならきっと、言える気がする。


「先生。この間言い忘れてたんですけど……」


「ん?どうしました?」



「ご結婚おめでとうございます」


それを聞いた先生は、一度目をぱちくりさせて。



「ありがとう」



そう言って、照れくさそうに笑った。








***



別にこれは、単なる気まぐれで。


ほんとにほんとに、たまたまそういう気分になっただけであって。


決してアイツに会いたいからだとか、そばにいて欲しいからだとか、そんなんじゃない。
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