なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
「なんか、センパイ大晦日ぶりだね」


「…うっ…あっ…そ、そうね」


周りの視線にばかり気を取られて油断した。


「センパイの匂い。久しぶり」



「あっ…!」



私の首筋に顔を近づけ、スンッと空気を吸い込む長瀬。


その時に長瀬の息が触れて、くすぐったさから思わず変な声が。



–––––しまった。



それを見ていた周りの生徒達が、頬を染めながら騒ぎ始める。


「あんたは犬かっっ!!!」


おまけに、自分の顔が火を噴くんじゃないかってくらい赤くなっていくのが分かって、もう今すぐにでも逃げ出したい気持ちだ。



「センパ……」


「わっ…私……教室戻るっ!!!」


「は?マジ何しに来たの?」


無理無理無理!!


よしっ。


戻ろう。ただちに自分のクラスに戻ろう。


いざっ!!と長瀬に背を向ける。


だけど––––



…これで…いいのか?


「センパイ?」


よく考えたら私、こいつに借りがありすぎやしないか?


「行かねーの?」


いいのか?後輩に借りばかり作って。


しかも、コイツに。


長瀬なんかに。
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