なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
「ごめんじゃないよ!もう、これ以上変な噂が立つのはごめんなんだからね!!」
「へいへい。分かってる分かってる」
ヘラヘラと笑い悪びれる様子のない茉莉に、肩をポンポンっと叩かれ半眼で睨みつければ、茉莉は「お〜怖!」と言って顔の横で両手を上げた。
こいつ……。
私がこのかつてない謎の事態に、ハゲそうなくらい頭を悩ませてるっていうのに、何でこうも楽しそうなのかね…。
親友じゃなかったけ?
この人親友じゃなかったっけ?
「学校いちのイケメンヤンキーと、学校いちの爽やか王子様…か。咲希って大人しい顔してなかなかやるよねぇ」
「やめてよ。不本意極まりないんだから」
「いいじゃん付き合っちゃえば。こんな美味しい状況、人生でなかなかないよ」
美味しい状況って……。
とてもじゃないけど、そんな風には思えないんだってば。
「浅木くんとは、付き合うことなんて出来ないよ。ついこの間まで、名前も知らなかった後輩だし」
うん。そうだ。
いくら悩んだって答えは同じ。
浅木くんは凄くいい子だとはおもうし、モテるのも分かる。
だけど、恋愛対象に見ろって言われても、それは難しい。
恐らくそれは、この先も変わらない。
浅木くんには申し訳ないけど、妙な自信があるんだ。