なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
山吹さんが、カーテンを閉めて去っていく足音がする。


だけど、今の私はホッとするどころか、みるみる心拍数が上がって息も苦しい。


山吹さんから隠れなきゃって…そう思ってた時よりずっとパニックだ。


「行った?」


ギッと軋むベッド。


掛け布団をかぶり、私の上に覆いかぶさっていた長瀬が少しだけ体を起こし確認する。


そう。


今私と長瀬がいるのは、さっきまで長瀬が寝ていたベッドの上。


そして、なぜか私は長瀬に押し倒されているような状態。


「あぶねー。布団から出てるセンパイの頭見て、女だと思ったみてぇ」


「……っ」


長瀬に跨られた状態で、石のごとく硬直する私。


そんな私の様子に気付いた長瀬が、カーテンの方に向けていた顔をゆっくりとこちらに向けた。


合わさる視線と視線。


長瀬の瞳は、私を捉えてにわかに揺れた。



心臓が…破裂しそう。


長瀬がこんなに近くにいる。


声を聞くのはどれくらいぶりだろう?


長瀬の目を見たのはどれくらいぶりだろう?


「長…」


「センパイ…。あいつと付き合うの?」


「へ?」


「あいつのこと…好きになった?」
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