なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

あいつって……。


「……浅木くんのこと?」


「ん」


長瀬の視線は、相変わらず真っ直ぐと私に落とされてるのに、どことなく寂しそうに揺れている。


これは…あれだ…。


いわゆる、“僕を拾って?”っていう、子犬の目だ。


「…あいつといる時のセンパイ、楽しそう。俺といる時、いっつも眉間にシワよってるくせして…。だから、センパイがあいつがいいってんなら、俺に邪魔する権利ねぇなって思ってた」


「…長瀬?」



「けど、無理そう」



「長……」


長瀬の鋭い視線が私を貫く。


さっきまでの子犬はどこいった!?


長瀬の髪の毛が、私の頬をくすぐる。


それと同時に鼻をかすめる甘くて、優しい香り。



–––キス…される。


そう思った時にはすでに、長瀬の熱い唇が私の唇に重なったところだった。


「……っ」


今までとは比べ物にならないくらい、長くて甘いキス。


「……っは、長瀬っ…」


「あいつのもんになんか、ならないで」


「長瀬っ!待っ……っ」


まるで、自分のものだって。


そう主張してるみたいなキスに、頭が真っ白になって思考が上手く回らない。


……ちょっと。


ちょっと待ってよ?
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