なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
「……って」


「あ?」


「あんただって!山吹さんにベタベタベタベタされてたじゃないっ!!家に送ってあげたり、まんざらでもない感じだったじゃない!!」


そう感情的に叫んでおいてハッとする。


長瀬が驚いたように目を見開く姿が目の前にあって、熱くなる顔を俯けた。


言わなきゃよかった……。


一気に後悔の念が押し寄せてくる。


これじゃあまるで……。



「ねぇ、センパイ」


「な、なによっ!」


「それって、俺が他のヤツに触られんの嫌だってこと?」


熱かった顔が、さらにカァッと熱を持つ。


ベッドがギシッと音を立てたかと思うと、長瀬が私の顔を覗き込んできた。


「センパイも、やきもち妬いたってこと?」


「~~~っ」



“違う”


……だなんて言えない。


いくら私でも、そこまで強情じゃない。


見るからに溢れ出した感情を、無かったことになんてできるはずないんだ。


「否定、しないんだ」


「……っ!」


うろたえた刹那、長瀬の腕に包まれる。


頭上から、長瀬の安堵のため息が聞こえてきて、同時に吐息混じりの言葉を零す。


「家までとか、送ってねーから。たまたま方向が一緒だっただけだから」


長瀬が優しく私の髪を梳く。



「センパイ、好きだよ」


「……っ」


「俺は、センパイしか見えてねーから」
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