なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
ドキドキとうるさい鼓動の傍らで、ほっとしている自分がいる。
––––––“好きだよ”
飾りっけのない、ただそれだけの言葉。
それなのに、浅木くんの時とは全然違う。
響いて、浸透して、頑なな心を溶かしていく。
「…っ私だって……!!」
長瀬の着崩したパーカーをぎゅっと握る。
「…私だって!あんたで手一杯だよっ!!」
平和だったのに。
あんたに出逢う前は、何もない平凡な毎日を生きていたのに。
息苦しい世界で、それでも平和に過ごせるならって。
そう思って生きてきたのに…。
あんたに出逢ってから、私はおかしい。
「はっ!」
目を瞬かしていた長瀬が、突然破顔する。
「わ、笑うなっ!」
「くくっ。センパイ、クソ可愛い」
長瀬の目が、まるで愛しいものでも見るように細められて。
「うわっ…!」
それから、私を自分の胸へと引き寄せた長瀬と、ベッドの上に倒れ込んだ。
––––––あ。
長瀬の髪の毛、キラキラしてる。
窓から差し込む光が、私達へと降り注ぐ。