なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

–––––––


「何で?」


「何でも。無理」


「だから、何でそうなんの?何で無理なの?」


「何でもなにも、無理なもんは無理なの!」



朝の清掃中です。


エントランスにて、本日も木枯らしと共に“何で”の嵐が吹き荒れております。



「センパイ俺のこと好きなんでしょ?」


「にゃっ…!?そそそ、そんなこと一言も言ってないでしょ!?」


「にゃって今噛んだべ。まぁ、言ってねぇけどさ。

つーかじゃあさ、好きじゃねーの?」


「ぐっ……!」


私の真意を探るように顔を覗き込んでくる長瀬の瞳。


あーそうですよ!好きですよ!!


さすがにもう、好きって自覚してますよ!!


だけどさ!!


「顔真っ赤。ほら、否定できねぇじゃん」


「そそそ、それはっ……!」


「だからさ?センパイ」


「うっ……」


「俺と、付き合お?」



箒を持つ私の手に自分の手を重ねて、「ね?」と首を傾げる長瀬。


私は、長瀬のこうして甘えてくる仕草に弱い。


弟達もいて、年下に甘えられるのには慣れているはずなのに、長瀬に甘えられると胸のどっかがきゅううううって音を立てるから嫌んなる。
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