なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

「センパイがいなくなっても…学校の色んなとこでセンパイ感じれるように」


「長瀬……」


長瀬ってずるいな。


何でそういうこと言うかな。


いつもそうやって真っ直ぐな言葉で、私を戸惑わせて。


たくさんたくさん考えなくちゃならいことがあるのに、長瀬と付き合うなんて絶対にありえないことなのに……。



「付き合ったら…どうなるの?」


「え?」


長瀬が体を起こし、私を振り返る。


「つ、付き合ったら…私がいなくなった後も寂しくない?」


何言ってるんだろ…私…。


「……そりゃもう……」


焼きそばパンが、私の手から奪われる。


長瀬はそれをテーブルに置くと、真っ赤になった私の額に自分の額をあてて。



“……じっくり、すり込めるからね”



そう甘く囁いた。


「……っ」


長瀬がイタズラするように頬にちゅっとキスをする。


私はさらに真っ赤になって…だけど拒まない私を見て、長瀬がふっと表情を緩める。


それから額。


鼻の頭へと、長瀬は優しいキスを降らしていく。



茉莉の言ってた通りだ。


“怖い”なんて考えてる暇なかった。


“心の距離が近くなればなるほど、相手の近くに行きたくなる”


「大切にする。死ぬほど」


驚くほど近くで見る長瀬の熱っぽい瞳には、間違いなく私しか映っていない。
< 221 / 345 >

この作品をシェア

pagetop