なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
「センパイがいなくなっても…学校の色んなとこでセンパイ感じれるように」
「長瀬……」
長瀬ってずるいな。
何でそういうこと言うかな。
いつもそうやって真っ直ぐな言葉で、私を戸惑わせて。
たくさんたくさん考えなくちゃならいことがあるのに、長瀬と付き合うなんて絶対にありえないことなのに……。
「付き合ったら…どうなるの?」
「え?」
長瀬が体を起こし、私を振り返る。
「つ、付き合ったら…私がいなくなった後も寂しくない?」
何言ってるんだろ…私…。
「……そりゃもう……」
焼きそばパンが、私の手から奪われる。
長瀬はそれをテーブルに置くと、真っ赤になった私の額に自分の額をあてて。
“……じっくり、すり込めるからね”
そう甘く囁いた。
「……っ」
長瀬がイタズラするように頬にちゅっとキスをする。
私はさらに真っ赤になって…だけど拒まない私を見て、長瀬がふっと表情を緩める。
それから額。
鼻の頭へと、長瀬は優しいキスを降らしていく。
茉莉の言ってた通りだ。
“怖い”なんて考えてる暇なかった。
“心の距離が近くなればなるほど、相手の近くに行きたくなる”
「大切にする。死ぬほど」
驚くほど近くで見る長瀬の熱っぽい瞳には、間違いなく私しか映っていない。