なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
2☆エサをやってはいけません。
あぁ神様。
別に私は、何かの青春ドラマみたいに熱苦しい青春を送りたいだとか、
誰かに恋をしてドキドキのJKライフを満喫したいだとか、
学校のアイドルになって目立ちたいだとか、
そんな身の程をわきまえない無謀な願い事をしているわけではないじゃないですか。
ただひっそりと、何事もない平和な毎日を送りたい。
ただ、それだけなのに。
それなのにあなたはなぜ、こんな地味でちっぽけな願い事をも打ち砕くのですか?
「ねー、センパイ。付き合う気になった?」
「……」
体育棟の1階。
トレーニングルーム前にて。
体操着を持って女子更衣室に向かう私の前に立ちはだかったのは、他でもない。
学校いちの問題児ヤンキー、長瀬 渉だ。
相変わらずでかい図体で、制服のズボンのポケットに手を突っ込んだまま、感情の読み取れない顔をコテッと傾けている長瀬を私は“またか”と睨みつける。
そう。
あの公開処刑の日から、今日で早くも3日が経とうとしていた。
もちろんあの日、私は爆弾でもぶん投げられたんじゃないかって思うような長瀬の告白を丁重にお断りした。