なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。


「…すげぇ痛てぇ」


「ぶん殴られたいの!?」


スカートをまくろうとした長瀬の手を渾身の力を込めてはたき落とした私に、長瀬が恨めしい目を向けてくる。


このクソガキ…人の気も知らないで…。


あの後、すぐに朝のホームルームのチャイムが鳴って、私達は喜びを分かち合う暇もなく教頭先生に解散させられた。


そして、放課後。


こうして中庭のゴミ拾いをしている私の後を、何事もなかったかのように追っかけ回してくるこの男に、正直私はもの凄く腹を立てている。


「何んなキレてんの?付き合って初めての困難を二人で乗り越えたんだから、ここはぎゅーしてちゅーってするとこじゃね?」


「知らない。その辺の木とでもしてれば」


「……木って」


何がぎゅーしてちゅーだ。


バカなんじゃないの?


あんな目にあっておいて、よくもまだそんなことが言える。


っていうか、こっちがどんな気持ちで今日まで過ごして来たか、こいつは絶対に分かってない。


「これじゃなきゃヤダ」


「あ…!」


長瀬に背後から、包み込むように抱きしめられて、掴み損ねた空き缶がカランと音を立てる。
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