なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

鼻をかすめる長瀬の香り。


少し会わなかっただけなのに、長瀬の体温がこんなにも懐かしい。


「……センパイ?」


抵抗されるのを想定していたのか、長瀬はされるがままの私の前に回り込み、不思議そうに私の顔を覗きこんでくる。


そして…。


「……センパイ。何その変顔」


私の表情を確認するなり、驚いたように目を見開いた。


多分私の顔は、前に金城くんに言われた時と同じ顔で…。


込み上げてくる涙を必死に堪えているせいで、噛み締めた唇が痛い。


「…っ私ばっかり変になって…もう…嫌だっ!」


「え?」


こんな顔、見せたくなんかないのに……。


「あんたが…自分勝手に色々動いてる間…私は何も知らないで…ずっと怖かった…っ!あんたに…嫌われたかもしれないって!もう、私のことなんて好きじゃないのかもしれないって!」


ムカつくムカつくムカつく。


私一人、空回りしてたなんて。


いつの間にか長瀬のことをこんなにも好きになっていて、こんなにもコントロール不能になっているこの気持ちが、


……悔しい。



「は。何それ。それでそんな泣くの我慢した顔してんの?センパイすげー可愛いね」


「なっ…!さっきは変顔って言ったくせに!」
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