なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

「っ!!」


体中の血液が沸騰して、湯気が出そうなほど顔が熱くなってくる。



「まぎらわしいっっ!!!!」


「ふっ。センパイ。どんなことと勘違いしちゃったの?」


長瀬が片方の口角を上げ、顔を覗き込んでくる。


「ちょっ!みんな見てるから近寄らないでっ!!」


真っ赤になって顔を背ける私を、楽しそうに壁際まで追い込んでくる長瀬。


こいつのこういうところ、ほんと嫌っ!!


「離れて!!叩くよっ!?」


長瀬は振り上げた私の手を掴むと、その手にチケットを握らせ、そっと耳打ちをしてくる。



「明日、〇〇駅に11時。西口改札の交番前ね」


「…っひゃあっ」



下手くそな口笛を吹きながら去っていく長瀬。


私は耳を押さえ、固まったままその背中を見送る。


顔が熱くてじんじんする。



長瀬のやつ…耳に甘噛みしやがった……!



「……ぜ、絶対行かないんだからねっ!!」



そう叫んでみても、もうすでに長瀬の姿は見当たらなかった。





***


絶対に行くもんか!


あんな自分勝手な誘い方で!


私の意思なんて関係ないって感じで!



人生初のデートなんだよ?


もっとさ!ほら!あるじゃん誘い方とか!

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