なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
何度も言いますが、平和をこよなく愛す私にとっては、大変無駄のない素晴らしい3年間だったと思います。
あとは、卒業までのわずかな時間。
今まで通り過ごしていれば、卒業という名の素晴らしい門出の日を迎えられる事でしょう。
––––なーんて。この時の私は完全に油断していたわけだ。
すぐそこまで来ている冬の訪れを知らせるように、色を失い、落ち始めた葉がカラカラと音を立てて転がっていく。
空は申し分ない晴天で、絵に描いたように澄んだ青空だ。
どこか冬の香りのする空気に腐葉土の香りが混ざって、
あーこれこれ。この香りが一番心落ち着くのよね。
なんて、心の中で呟きながら、手元の土を少量手に取る。
「春になったら、いい花咲かせてよ」
そう土に向けてニッコリ微笑む私は、はたから見たら土と会話をしてる変な人間に見えるだろう……いや、実際下校途中の生徒が何人か振り返ったが、まぁ、そんなのいちいち気にしてはいられない。
「さぁ。始めないと日が暮れる」
手に取ったのは、園芸用のシャベルとさっき美化委員会顧問の村田先生と一緒に運んで来た、チューリップの球根。