なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
14☆君に恋する花言葉

廊下の窓から差し込む優しい陽射しを受けて、ようやく本格的な春の訪れを感じる––––––3月。



いよいよ卒業式まで、後一週間をきった。



「失礼しました」



放課後。


職員室の前のトイレに飾る花の水換えを済ませた私は、花瓶に挿さった黄色のスイセンの花を足早に運んでいた。


このスイセンは、美化委員の顧問である村田先生が学校の花壇のものとは別にプランターで育てた、生け花専用のスイセンらしい。


陽当たりの良い場所で育てていたためか、花壇のものより一足早く咲いたと言って、校内に飾るよう昨日頼まれたものだ。


卒業まであと少し。


毎日行っていた美化委員の活動を思い出すと、少し込み上げてくるものがある。


こうして校内に飾る花の水換えをすることも、もう幾度もないんだなぁ…。


そう思うと、この一回ですら名残惜しく感じる。



そんなしみじみとした気持ちで職員室の前に差しかかると、職員室から出てきて早々、大きなため息をつく金城くんに遭遇した。


「おう。花枝。ご苦労さん」


「どうかしたの?金城くんが職員室に呼び出されるとか、凄く珍しいんじゃない?」
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