なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

振り返ると、真剣な眼差しの金城くんが私を見上げていた。


「…私ね、私なりに長瀬のことを理解しようと思ったの。だけど、長瀬の気持ちなんてちっとも分からなかった。考えれば考えるほど分からなくなって、間違えて、長瀬を怒らせちゃって…」


「花枝…」


「でもね、よく考えたら、あいつを理解しようだなんてこと自体間違ってたんだ。だって、私と長瀬じゃ、違いすぎる…」


長瀬は年下で、私は年上で。


長瀬はヤンキーで、私は超平和主義者で。


全く違う世界で生きてきた私達が、分かり合えるはずがなかったんだ。


私達なら大丈夫。


距離になんて負けない。


いったいどの口がそんなことを言えたんだろう?


長瀬に、薄っぺらい言葉だって言われても当然だよ。


「だから、こうなることは決まってたんだよ」


そう言って小さく笑って見せると、尚も真っ直ぐ見つめてくる金城くんから視線を逸らした。


「そういうややこしいことじゃねーと思うんだけどなぁ……」とポツリそう零す金城くんの言葉を背中で受け止め、私はまた階段を上る足を進めた。






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