なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
それを見ていた浅木くんが、神妙な面持ちで口を開いた。
「先輩、渉とどうなってるんですか?」
「え?」
「最近、アイツちゃんと学校には来てるけど、前にも増してやる気ないっていうか何ていうか…。取っつきにくくて誰も近づけないんですよね」
そう言ってため息を零す浅木くんは、心底呆れた様子だ。
「長瀬がやる気ないのはもとからだよ。だけど……よかった」
「え?」
「長瀬、ちゃんと学校には来てるんだね」
チューリップの蕾を優しくなでながら、瞳を落としそう言うと、浅木くんは驚いたように一度目を見開いて、すぐに眉をひそめた。
–––––グイッ!
「なんか…あったんですね?」
私の手首を引き、弾かれるように顔を上げた私の瞳の奥を浅木くんの視線が探ってくる。
慌てて顔を背けるけど。
「隠しても分かりますよ。アイツが余裕をなくすのは、先輩のこと以外有り得ないんです」
「……っ」
浅木くんの、強くて真っ直ぐな瞳に負けて、私は長瀬とあったことを、全て彼に打ち明けた–––––。
––––––
–––
「なるほど。そんなことがあったんですか」