なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

花壇の淵に腰をかける私の横に座り、自分の太ももに頬杖をついて、何かを考えている様子の浅木くん。


「……どうしようもないでしょ?」


まだ冷たさの残る風が、頬を撫でる。


「どうしようもないのは、8割アイツですけどね」


「ふふ。浅木くんは私に甘すぎ。みんなには逆のことを言われたよ」


「そりゃあ、好きな人ですから。甘くもなります」


「……え」


思わず、鳩が豆鉄砲を食らったみたいな顔を向けると、それを見て浅木くんがクスクス笑い出す。


「からかったね?」


「あはは!はい。からかいました」


楽しにそうに笑っている浅木くんに恨めしい目を向けると、「怒らないでください」と頭をなでられた。


「まぁでも、先輩が俺にとって大切な人だってことは今でも変わりないんで。ひいき目で見ちゃうのは大目に見てください」


そう言って浅木くんは、春の木漏れ日のような眩しい笑顔で笑う。



浅木くんてやっぱり素敵な人だな……。


浅木くんが笑うと空気が柔らかくなるのが分かる。


長瀬の笑顔は、いつもドキドキして息の吸い方を忘れそうになってしまうから、まるで対照的だ。
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