なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
長瀬は、私の“自信”そのものなのかもしれない。




長瀬と出逢ったあの日。


たった一度の失態から生まれた平和とは真逆の毎日。


さんざん長瀬に振り回されて、さんざんヤキモキして。


何で何でって頭を抱えた毎日。



だけど、平和を守ってた時なんかよりずっと、世界が色付いて見えた。


めいっぱい息ができた。


自分を少し、好きになれた。



全部全部、長瀬に出逢ったから。





3年間の中のたった数ヶ月。


この数ヶ月で得たものがあるから、私は今強い決心を胸に、ここにいられるんだ。



校長先生が退場をしたと同時に、私はすぅと深く息を吸い込む。


“よし!”と心の中で気合を入れて、膝の上で緊張で震える手のひらを、ぎゅっと握りしめた。










来賓の祝辞が終わり、在校生送辞。


これが終わればいよいよ、金城くんの卒業生答辞だ。


その時。


––––––ヴヴヴ…


胸ポケットに入っているスマホが静かに震えた。


何だろう?こんな時に…。


先生達にバレないように、胸ポケットを覗く。


すると、画面に表示された“金城くん”という文字に「えっ」と声が漏れそうになった。
< 322 / 345 >

この作品をシェア

pagetop