なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
な、何で金城くんから…!?
慌てて金城くんの座っている方を確認すると目が合い、口パクとジェスチャーで“見ろ”と指示される。
み、見ろって…!
キョロキョロと辺りを確認し、在校生の送辞に聞き入っている先生達の目を盗んでメッセージ画面を開く。
【さっき、まさかと思って浅木に連絡したら、長瀬の姿が見当たらないって返信がきた】
え?
長瀬はこの式に出席してないってこと?
【学校には登校してきてるらしい。どうする?やめるorやめない?】
長瀬のヤツ…きっとどこかでサボってるんだ。
それじゃあ、私が今しようとしていることは無駄に終わってしまう……?
返信に迷い、画面の上で指がさまよう。
––––ううん。無駄に終わらせたりなんかしない。
きっと、届けてみせる。
私は、力強くメッセージ画面に文字を打ち込んだ。
【やめないよ!】
––––––
–––
「卒業式答辞、3年A組金城一馬くん」
「はい」
司会の先生の言葉で椅子から立ち上がると、金城くんは壇上へと進んでいく。