なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
二人とも……。
二人には、感謝してもし切れない。
金城くんにこの日の計画を持ちかけた時、『もちろん全力で協力しますよ!!』と言ってくれた山下さん。
『咲希にしては、懸命な判断だね。いいじゃん。長瀬の度肝抜いてやろ!』と背中を押してくれた茉莉。
金城くんは、その様子を目を細めながら見守ってくれていて、『花枝と長瀬のコンビが見られなくなるのは、寂しいからな』って。
コンビなんて聞き捨てならないけど、みんな自分達の立場だってあるのに、私の無茶な願いに付き合ってくれてる。
こんなの、全力であいつに想いを届けない限り、3人に顔向けできないじゃないか。
「距離くらい何よ!!気持ちが離れる!?バカにすんなっ!!!」
だからお願い。
届いて。
「一番に気付いてやれない!?自惚れんなっ!!!」
届いて!
「あんたに、四六時中守って貰う必要なんてないっ!!あんたに出逢って、これでも少しは強くなったんだからね!?」
届け!!
「もう十分だから…!今まで沢山守ってもらったから!!もうこれからは、私のことなんて見てなくてもいいから……」
「だから……」そう言うのと同時に、体育館の校舎側の扉が、金属の擦れる大きな音を立てて開く。
「私との未来を見てよ……」