なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

「こら、静かにしなさいっ!」と必死に生徒達をなだめている司会の先生。


この状況を簡潔に説明するのなら、



“大混乱”だ。



「ああぁぁぁ……まずいまずいまずいまずいどうしようまずい………」



真っ青な顔で冷や汗だらだらの私を見て、長瀬が破顔する。



「はっ!センパイ今更かよ」



「ひゃっ!?」



急に地面から足が離れ悲鳴をあげれば。



なっ………っ!?!?



なんと。


長瀬にお姫様抱っこの態勢で、抱きかかえ上げられているではないか。


女子達の「キャー!!!」という黄色い悲鳴。


男子達がピューピュー指を鳴らし、更にはやしたててくる。



「長瀬っ!!!何してんの!?下ろし……」



“下ろして”と言う間も与えてくれず、駆け出す長瀬。



私を抱えたまま身軽にステージを飛び降り、止めようとする先生達を軽々とかわし、ジェットコースターのようなスピードで体育館の出口へ。



「ななな、長瀬!!ど、どこ行くの!?卒業式は!?」



「しらね。誰もいねーとこ」



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