なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
***
桜満開の並木道を、長瀬と一緒に歩く。
と言っても……。
「何で、んな怒ってんだよ」
「……」
無視をしながらだけど。
「なー。聞いてる?内緒にしてたから怒ってんの?」
……それ以外、何があるのよ。
おかしいとは思ったんだ。
受験するって聞いたはいいけど、どこかと聞けば『受かるまで言いたくねー』。
受かったんだかどうだかも分からず、もしものことを考えて、長瀬から言ってくるのを待ってれば、いきなり音信不通。
それで突然現れて、今年から私と同じ大学に通う?
めちゃくちゃでしょ!!
こっちがどれだけ心配したと思ってるんだ!!
「悪かったって。センパイの驚く顔、すげー見たかったんだもん」
その長い足で、軽々と私の前に回り込んできた長瀬。
私はそれをキッと睨みつける。
だけど、そんなのものともしない長瀬は、柔らかく微笑みながら私の髪にそっと触れて、
そこについていた桜の花びらを手に取り、ふっと息ではらった。
「驚いた?」
満開の零れ桜を背に、愛しむように目を細める長瀬は、この世のものとは思えないほど綺麗で……。
悔しいのに…高鳴り始める鼓動を宥めることができない。
反則だ。
長瀬のその顔は、反則なんだ。