なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
そこにいたのは、上下ジャージ姿にちょっとダサめのメガネをかけた……男子生徒?
鼻の頭に土つけて、私に向かって人懐っこそうな笑みを浮かべている。
私とあんまり変わらなく見えるけど、先輩…だよね?
入学式早々、先輩に関わるとか勘弁だ。
男子なんて尚更。
いきなり“男好き”なんてレッテルを張られでもしたら、高校生活3年間をひっそり平和に過ごすっていう私の計画が全て水の泡になる。
出だしつまづくわけにはいかないのよっ!!!
私は、彼からそっと距離をとるように後退りをする。
『お邪魔して、すみませんでした』
すぐにこの場を立ち去ろう。
そう思って、踵を返そうとすれば……。
『あ!待って!』
『……え?』
『これ、あげます』
彼が差し出していたのは、鉢植えに植えられた一輪のピンク色のチューリップ。
『ちょうどこっちの花壇に植え替えようとしていたんですが、鉢植えごと君に一つあげちゃいます。花が枯れちゃっても、また来年綺麗な花を咲かせますよ』
『え……でも……』
『西洋の方の花言葉でね、ピンクのチューリップは“happyness”って意味があるんです』